スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ブログ移転します

2015年5月10日よりブログを移転しました。
これまでの記事はこの場に保存いたしますが、最新の記事は以下にアクセスください。

みどりを活かしたまちづくりの情報箱 ブログ
http://toshisatoyama.sub.jp/blog/

これからもどうぞよろしくお願いいたします。
スポンサーサイト

小さくて強い農業をつくる

「小さくて強い農業をつくる」(2014)<就職しないで生きるには21>
久松達央 著  晶文社 275p

 前作「キレイゴト抜きの農業論」が面白く、新作が出たということで飛びついてみました。著者は有機農業に取り組みつつも、小規模経営農家を実現するべく先進的な取り組みを一つずつ成果にしてきた方です。農業が経験に依存する技術という思い込みを見事に覆しているところが非常に面白いところです。

 さて本書は農業書として手に取って、読後はフリーランスを中心とした独立開業者向けの書籍だなという実感です。著者が農業を志した理由、自らを省みてできることを積み上げることでシステムを組み上げてきた過程、そうした中で見えてきた農業を中心とした世界観が非常に分かりやすく表現されています。

 私自身も「まちづくりコーディネーター」と自称する自営業者でもありますが、本書で語られる小さいからこそできる戦略にはとても共感します。大規模化を目指す農家は輸出や加工産業などより大きな市場に打って出る戦略ですが、それだけになってしまえば多様性を失いますし、小回りの利いた商品提供という部分が効率化の名のもとに消え去ることもあり得ます。小さいからこそできることもあるだろうと思います。

 現在グローバリゼーションの名のもとに、画一化が進んで効率を上げてきていますが、結果として情緒的な側面が切り捨てられているように思います。どのような業態もそうですが、高付加価値である商品はおおむね情緒的な側面にかなり訴えて価値を付けているように思います。そうした両極になった社会構造の中で成熟が見えてくるのではないかと思います。

 有機農業というのは生産者と対話するという一見すると非効率であるような関係性を結ぶための道具なんだろうと思います。現代では効率化されすぎて非常に息苦しい状況があると感じます。都市計画の中でも同じ問題をはらんでいます。近隣の緑との関係性を効率の名のもとに切り捨てることなく、情緒を取り戻す場として何とか価値づけをしたいと思うこのごろです。

地産地消の使い方

 地産地消とは農林水産省が1981年ごろから使い始めた概念とされ、海外からの農産物の輸入増加に対応するような形で各地で地場で採れた農作物を地場で積極的に活用していこうとしたとされています。率直に言えば農村地域の活性化に向けて一品一村運動などのように名目を立てたという要素が見え隠れする要素とも見ることができます。

 また流通に係るエネルギーや費用などの低減につながるとして環境活動家などが使う場合もあります。そして限界集落など農村の消滅危機に対して地産地消という概念が「まちづくり」にも使われるようになってきました。特に都市近郊農業や大消費地が近い郊外農村地域などでは地産地消が叫ばれるようになり、地産地消は農業基盤を活用したまちづくりツールとして使われるようになっています。

 しかし、地産地消の大きな問題点は「地元」の範囲が不明瞭なまま使われていること、消費するスタイルは分かるのですが、生産者から消費者までの過程が描かれていないこと、農業活性化の一助と言われながら明確な経済性評価が無いことなどが挙げられます。地産地消をまちづくりで活用するには上記の3点を明確にしなければ掛け声だけに終わる危険性が高いと感じています。

 地産地消を実現すると誰が、どの分野でメリットを受け取り、その対価をどれほど得られるのか。地元産の強みは基本的には鮮度の高い商品を旬に応じて提供することです。ただ一般消費者に販売する場合は少ない量しか取引されず、農家にとっては大した稼ぎになりません。ただ、消費者との距離が近いことで需要を把握できる強みを生み出しやすいところはあります。

 もし圧倒的な儲けが出るのであれば地産地消は多くの農家が取り組み、まちづくりとして地域振興に大いに役立つものと思います。しかし、30年近く取り組んでいても広がりを持たない概念はつまり成果を挙げていないという出発点から評価するしかないのかなと思います。地産地消は使い古されたフレーズと呼ばれかねない言葉になってきましたが、自分が関わっているまちづくりで何ができるのか、挑戦してみているところです。

たすきがけの湯布院

「たすきがけの湯布院」(2006)
中谷健太郎 著  ふきのとう書房 223p

 かつて湯布院のまちづくりに関わった知人から紹介された一冊です。遅読極まる1年間でした。初読なのにぼろぼろの本書。ごめんなさい。さて、「由布院のまちづくり」が外観・俯瞰からまちづくりを開設した書籍であることに対して、本書はまちづくりの中核を担った中谷さん自身の体験記のような風貌の内容。

 本書は由布院が戦後の復興期から高度経済成長の列島改造論までの温泉観光地開発の荒波の中で、個性的な人材と熱烈な支援者に支えられながら自然を活かした温泉保養地としての独自の世界観を作り上げるところに至るまでの歴史書のような内容です。当事者でもある中谷さんの個性が出ているのか、ドタバタ劇が非常に楽しく読めました。

 現在(2014年まで)のまちづくりは私が感じる限りでは一部の非常に稀有な才能に依存した特殊なまちづくりが主体だと感じます。その多くはイベント(催事)やプロモーション(広報)に費やされますが、素材があって人を呼べる地域としてきちんと整理されていればいいのですが、どうにもそのように感じないものも多いというのが実情です。本書はそうしたまちづくりに対して泥臭く、息長く、様々な調整と人材育成に取り組んだことを生々しく書いてくれています。

 私がとても納得できたのは、町全体が一つにならずに、後ろから切り付けられたままの形で駆け抜けたとした本当に後半の一節でした。多くの調整の場において私が感じるのは衝突の少なさです。衝突すること、対立することで妥協点を見出してきたとする本書は本当の地域政治の場がそこにあると感じます。しかし、実際に関わる様々な場面で対立することを極端に嫌う傾向にあることはまちづくりの仕事をとても難しくします。

 私はとある里山が開発によって失われるという事態に対して、里山を守る側について支援していたことがあります。行政と対立することの難しさを三里塚闘争から学びましたが、曖昧な戦略で進みそうなメンバーに対して「勝つために役所前で焼身自殺をしましょうか?」と場を凍結させたことを思い起こします。もちろん自殺するつもりはありませんでしたが、覚悟をもって誰もが絶句するような愚かな発言を突き付けてみたのです。

そうした苛烈さ、愚かさが時に必要なコミュニケーションの手段であるということをあの時実感しました。馬鹿者が足りないというのは色々なところで聞く話です。その里山はある程度想定された範囲で守られました。命があってこの記事を書いております。

庄内パラディーゾ アル・ケッチャーノと美味なる男たち

「庄内パラディーゾ アル・ケッチャーノと美味なる男たち」(2009)
一志治夫 著  文藝春秋 191p

 購入したのは農あるまちづくりの仕事に就いた2010年。農地や農家を活かしたまちづくりについて資料をかき集めていたときの一冊。コーディネーター(調整役)がどのような役割であるべきかを模索したく買った一冊でしたが、農産物のブランド化に向けて好事例を模索している中でようやく読み終えた本書です。

 山形県庄内地域に降り立ったイタアリアンシェフ奥田政行を中心に織りなされる食の都庄内がなぜこれほどまでに有名になったのかを記した作品です。山形大学の江頭宏昌を筆頭に山形庄内で活躍する農家、畜産家との邂逅、奥田が提供する料理の背景、そして将来を見据えた哲学など庄内地方というより奥田政行を知るための一冊という雰囲気です。

 農産物を使ったまちづくりとしての地域振興は各地で営まれていますが、成果を上げているとされているような地域は本書のように一人の特筆すべきコーディネーターが居るように思います。各方面に居る人材と対話し、提案をきちんと形にするような方々が居るような場所はおおむね一定の成果と評価を得ています。

 奥田シェフが農産物のブランド化に向けて取り組みやすかったことは、料理という表現手法が幅広い方々に分かりやすかったことに尽きるような気がします。そして彼が語るべき言葉をしっかりと探り、発信できたことも一流と呼ばれるにふさわしい側面とも言えます。

 地方再生、地域振興、まちづくりなどに取り組む際には奥田シェフのように言葉+αの表現方法を身につけておくことが実は重要なのかもしれません。私の場合は講座、市民活動、イベントなどを通じた教育プログラムが表現手段であり、それによって研究し、体系を作る分野を持っています。そうした論理と情緒の両面から取り組むことが今後の地域づくりや地方活性化(再生や振興)にとって重要な人物像なのかもと思いました。

 さてこれを読みつつ農産物のブランド化に向けて提案書を作るわけですが、地産地消(論理)をいかに表現(料理)するかまだまだ検討段階です。

 
プロフィール

Nakajima Toshihiro

Author:Nakajima Toshihiro
里山中心の生活に憧れて、気が付けば研究者の道に。好奇心旺盛に様々な里山を渡り歩きつつ、現場の問題解決に取り組んでいます。最近は柏たなかと山武市のまちづくり、人材養成の仕事に就きました。

趣味はサッカーをはじめ、登山、映画鑑賞、美術館めぐり、公園めぐり、まち歩きなどなど

特技は炭焼き(初心者向け講習やっています)、タケノコ掘りなど

このブログでは里山のことを色々書いていきます。

HPもあります。
http://www18.atpages.jp/~toshisatoyama/index.php

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。